ゲムキTOP > ブログTOP > JR70条を利用した地方都市から東京へ旅行する場合の乗車券考察
←【背景】特定都区市内 | 次の記事→

【背景】東京近郊区間

Катюша 2019-10-05 10:55:04
東京近郊区間という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
旅客営業規則第156条第2号に定められています。

この東京近郊区間内を相互発着する場合は、
どのような経路を利用しても、最短経路で運賃計算がされます。
(例えば、山手線内で隣の駅へ移動するのに、
 真っ直ぐ行っても、逆回りで行っても同じ運賃が計算されます)
このルールによって私たちは、好きなルートを使用して目的地へ到達できます。

一見良さそうに見えるこのルールですが、弊害があります。
東京近郊区間のルールによって、乗車券は途中下車無効、当日限り有効となります。
これは経路が東京近郊区間に収まる全ての乗車券に強制的に適応されます。

JRの切符はそもそも片道100kmを超えると、途中下車が認められています。
また、有効日数も100km超えで2日、200km超えで3日、以後200kmことに+1日となります。
東京近郊区間によって、これらのルールが無効となっていまうのです。


この東京近郊区間、実はとても広いです。
東海道線は熱海まで、中央線は松本まで、上越線は水上まで、
東北線は黒磯まで、常磐線はいわきまで、千葉方面は全域。
JR東の関東エリアほぼ全域と考えて問題ないと思います。

極端な例ですが、松本-いわきの片道450kmの乗車券は、
これを途中下車不可で1日で移動しなくてはなりません。
しかし、松本から1駅離れた田沢や、いわきから1駅離れた草野を発着駅にすると、
経路が東京近郊区間内に収まらないため、
経路が460kmを超えない限り上の乗車券と同じ運賃で
途中下車ができ、4日間使用可能な切符となります。

これが東京近郊区間による弊害です。


実は、東京近郊区間は抜け穴があります。
新幹線の経路は東京近郊区間に含まれていません。
つまり、経路に新幹線を入れることで、東京近郊区間が適応されない乗車券できます。
例えば、東京-品川や東京-上野の経路に新幹線を選択します。
(経路に新幹線を選択しても、並走する在来線に乗れます。
 もちろん、わざわざ特急券を買う必要もありません)
これを利用することで東京近郊区間に収まる乗車券でも、
東京近郊区間のルールを回避する乗車券を発行することができます。